蝶ネクタイ/ボウタイを結ぶときに、どのシャツを選ぶかで悩む方が多いですね。
◆どんな襟型のシャツを選べばよいのでしょうか?
◆蝶ネクタイ/ボウタイ用のシャツはありますか?
◆ボタンダウンのシャツに蝶ネクタイ/ボウタイを結んでもいいですか?
皆さんの疑問にお答えするために、代表的なシャツの襟型を蝶ネクタイ/ボウタイとの相性と共にまとめました。
どうぞ蝶ネクタイとシャツ選びの参考になさってください。
クラシック・カラー [Classic collar]
襟の開きが75~90°程度です。襟羽根の長さは70~75mm程度。台襟の高さ35~38mm程度で、時代やブランドによって多少の違いはあります。レギュラーカラーとも呼ばれています。
日本においては冠婚葬祭時に着用して間違いないシャツとして認識されています。
個人的な意見ですが、襟の開き角度が狭いと襟先が垂れるので見た目の印象がやや沈んでしまいます。ジャケットのラペルとの間にも余分な空間が生まれてしまい、Vゾーンが間延びします。Vゾーンに自信のなさを表現したくないのでわたしは普段は着ません。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星3つ★★★☆☆
蝶ネクタイと合わせるなら印象はやや変わるでしょう。Vゾーンの中央に垂れ下がるネクタイとは違い、横方向に広がる蝶ネクタイは胸元を華やかに彩ります。やや暗い、あるいは沈んだ印象とはなりにくいのですが、あえて蝶ネクタイに合わせて選ぶ必要もないと思います。
ナロー・カラー [Narrow collar]
襟の開きが狭くて角度が60°以下のシャツです。
襟羽根が長いものを「ナロー・ロングカラー」、短いものを「ナロー・ショートカラー」と使い分けることもあります。
蝶ネクタイとシャツの相性
星1つ★☆☆☆☆
蝶ネクタイの結び目部分が襟の開きに収まらないでしょう。そうすると、結び目が襟から浮いてしまい、蝶ネクタイの形を美しく維持するのも難しくなります。
スプレッド・カラー [Spread collar]
襟の開きが120°~140°。台襟の高さ36〜40mm程度。襟羽根の長さは75〜80mm程度。
他の呼び方は、ワイドスプレッド。ワイドカラー等があります。本来はフォーマル性の高い襟型なのですが、日本においては団塊の世代以前の方々はあまり好んで着用しません。
後で説明しますが、スプレッド・カラーの中でも細かく分類分けする場合があります。ややこしいので全部まとめてスプレッド・カラーと呼んで差し支えありません。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星5つ★★★★★
フォーマルにもカジュアルにも対応できる万能型のシャツ襟です。完璧なバランスをVゾーンにもたらします。一方で隙のないアンサンブルはあなたの個性を失う可能性もあります。蝶ネクタイとシャツにアクセントとなる色柄を入れると良いでしょう。
イタリアン・スプレッド・カラー [Italian Spread collar]
襟の開きが120~140°くらいのシャツで、襟羽根が長くないものを特に「イタリアン」と呼ぶ場合があります。イタリアのシャツすべて襟羽根が短いわけではありません。
イングリッシュ・スプレッド・カラー [English Spread collar]
ブリティッシュ・スプレッドとも呼ばれます。
襟の開きが120~140°くらいで襟羽根が長いシャツを特に「イングリッシュ」と区別して呼ぶ場合があります。シャツの襟羽根がジャケットのラペルから飛び出すことがないように工夫されています。
伝統的な英国風スタイルで、ウィンザー公にちなんでウィンザー・カラーと呼ばれることもあります。
セミ・スプレッド・カラー [Semi Spread collar]
襟の開きが90〜100°程度。台襟の高さは36〜40mm程度。襟羽根の長さ75〜80mm程度。
襟の開きがクラシック・カラーとスプレッド・カラーの中間くらいです。
フランスのシャツは襟羽根が小ぶりで、襟の開き角度もこれくらいのものが多いですね。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星4つ★★★★☆
カーディガンやVネックと合わせるとお洒落で上品な印象にコーディネートできるでしょう。休日のカジュアルスタイルにオススメです。
カッタウェイ [Cutaway]
スプレッド・カラーのシャツ襟よりもさらに襟が開かれたシャツです。襟の開き角度は140~180°くらいです。開きが水平に近いシャツはホリゾンタル、フルワイド・カラーと呼ばれることもあります。襟羽根の収まりがよく、すっきりとした見た目なので、最近ではノーネクタイで着用されることも多いシャツです。イタリア系のシャツに多い襟型です。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星3つ★★★☆☆
蝶ネクタイの結び目を襟が支えてくれません。つまり襟羽根が蝶ネクタイの結び目上部に見えることになります。蝶ネクタイの結び目が下向きになりやすく、ほどよく襟に収まらないので形が崩れやすいです。
タブ・カラー [Tab collar]
両側の襟をタブとよばれるつまみ紐でつなげた襟型です。タブの上からネクタイを通して、襟元を引き締めてネクタイを立体的に見せます。
襟羽根が飛び跳ねたり、形を崩さないための機能性を持たせたシャツで、インフォーマルなシャツです。
襟羽根が丸いものや、長いものもあります。またイタリア南部のシャツは台襟が高く設定されていたりして、タブ・カラーと言っても、その印象を一括りにはできません。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星3つ★★☆☆☆
普通の結び下げネクタイを締めた時とは違い、蝶ネクタイの場合はタブの部分が隠れないかもしれません。あえてタブを見せることを野暮と捉えるか、粋と捉えるかは人それぞれでしょう。
ピン・カラー [Pnned collar]
両側の襟をカラーピンで止めたシャツです。タブカラーと似たようなシャツ襟の形ですが、ピンがアクセントになります。ピン・ホールとかアイレットとも呼ばれます。
ピンはピン型、クリップ型、安全ピン型があり、ヴィンテージのコレクションをしている人も多いです。アメリカ人が好きな印象です。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星2つ★★☆☆☆
襟の両側にピンがあるので蝶ネクタイの剣先を邪魔するかもしれません。整合性に欠けるのであえて蝶ネクタイと合わせる必要はないと思います。しかし、蝶ネクタイとピン・カラーを合わせている人は皆無なので、ある意味では他にない個性を発揮できるとも言えます。
ボタンダウン・カラー [Button-down collar]
襟の先端を前身頃にボタンで留める襟型です。 ブルックス・ブラザーズの創業者ジョン・ブルックスは、イギリスのポロ競技の選手のシャツ襟がひらひらと動くのを見て、襟をボタンで留めた方がいいのではないかと考えてボタンダウンを発明しました。
オックスフォード地で織られたボタンダウンのシャツはアイビーを象徴しています。
襟のロール具合によって、「ロールド・ボタンダウン」「フラット・ボタンダウン」「ハイロールド・ボタンダウン」と呼び分けることがあります。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星3つ★★★☆☆
フォーマルには適しませんが、カジュアルな着こなしには適しています。蝶ネクタイをフォーマルなタイとして限定的に見る人は「ナンセンスだ」と言うかもしれませんが、わたしは蝶ネクタイと合わせても問題ないと考えます。ただし、蝶ネクタイの素材や色柄をドレスダウンする必要があるでしょう。
ウィング・カラー [Wing collar]
襟先が前に折れた襟型です。立ち襟とも呼ばれます。タキシードやモーニングなどとともに正装用として着用されるシャツです。
身頃にプリーツが入っているタイプとプリーツなしのシャツがあります。ブラック・タイ着用の場合は基本的にはプリーツ有りのシャツを選びますが、正直言ってプリーツはあってもなくても気にしません。こんな事を言うと誰かに怒られそうです。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星5つ★★★★★
相性が良すぎます。フォーマル性が強いですね。ウィング・カラーのシャツと蝶ネクタイを合わせてカジュアルな着こなしが出来たらかなりの上級者です。白無地のシャツではなく、薄いブルーのブザム・シャツと同系色の蝶ネクタイならカジュアルな抜け感を演出できるかもしれません。
クレリック・カラー
クレリックとは「僧侶の」と言う意味です。僧侶が着ているシャツに似ているので名づけられた和製英語です。シャツの身頃が色柄物で、襟とカフスを白無地で作ったシャツです。 欧米はセパレーテッド、カラーディファレント・シャツ、あるいは単にホワイトカラー・シャツなどと呼ばれます。かつて、シャツの襟は消耗品で取り換え可能でした。庶民は身頃も襟も白のシャツを着ましたが、ロンドンの貴族は高価な色柄物のシャツを着ました。貴族たちはあえて色柄の身頃に白の襟を取り付けて特権意識を持ちました。歴史あるシャツなのでモーニング・コートを着用する際のハズしアイテムとしても使われます。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星4つ★★★★☆
クラシックでフォーマルなシャツですので、結ぶ蝶ネクタイを選びますが、とても相性が良いです。ベスト付の英国調スリーピースのスーツと合わせると最高に格好いいと思います。
ラウンド・カラー [Rounded collar]
襟先が丸い形のシャツです。欧米ではクラブ・カラーと呼ばれることが多いシャツです。ラウンド・カラーの歴史は古く、英国のイートン校の制服としての伝統があります。イートン校は1440年創立の男子全寮制パブリックスクールで、ラウンド・カラーのシャツは19世紀以降に制服として採用されています。イートン校の生徒のみが着用を許されることからクラブ・カラーと呼ばれ上流階級の襟型とされてきました。
蝶ネクタイとシャツとの相性
星3つ★★★☆☆
丸みを帯びた襟は日本では女子学生の制服に採用されることが多いです。蝶ネクタイと合わせるとフェミニンな印象を与えるかもしれません。歴史的な事実から言えば紳士的な襟型なので、他のアイテムで男らしさを補完するか、あるいは、可愛らしさを演出することもできます。
シャツの襟型でVゾーンの印象はずいぶんと変わりますね。その日の気分に合わせてお好きなシャツをお選びくださいませ。
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