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20世紀の初め、イタリア人のジョン・ニッキー・チーニ氏は大胆で革新的なアイデアを求めてエジプトに旅行に行きました。彼はエジプトで何か独創的なものを見出したかったのです。
ニッキー氏はエジプトで目撃した色とりどりのアフリカン・カラーにインスピレーションを受けて、これまでにない色彩のネクタイを作りたいと考えるようになり、1920年にネクタイ・ブランドのニッキーを創業します。
ニッキー氏のネクタイ作りへの情熱はミラノで話題となり、徐々にヨーロッパやアメリカのクラブで人気が高まりました。イタリアの劇作家ガブリエーレ・ダンヌンツィオもニッキーのネクタイ愛用者でした。
1920年代の男性の服装はダークな色調が多い時代です。そんな中で、ニッキーがイタリア男性にカラフルなネクタイを提案した功績は非常に大きいものです。
小さなネクタイメーカーから始まったニッキーは、色鮮やかなネクタイによって、世界市場に展開するまでになり、現在でも数多くのブランドのOEMを手掛ける名門ブランドのひとつです。
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ニッキーは創業当初から専門職人によるハンドメイド生産にこだわり続けています。今でも昔ながらのミラノの工房で、職人が一つ一つ手作業でニッキーの伝統を守り続けています。
ニッキーはクライアントから特別な依頼がない限り、セッテピエゲ(7つ折り)のネクタイを生産しません。3つ折りのネクタイにこだわる姿勢は崩しません。
現在、3代目の社長であるピエロ・ベンドーニが創業以来のブランドポリシーを継承しつつ、シーズン毎にさまざまな色合いと素材のネクタイを提案しています。
ベンドーニ氏は美術品や建築の造詣が深く、エレガントな感性の持ち主です。ベンドーニ氏はニッキーのネクタイによって1940~’50年代の男性のエレガンスを現代に表現したいとの思いを抱いています。
それで、現在のニッキーのネクタイは色鮮やかでありながらも、控えめで品の良いモダン・クラシックなコレクションを多く生産しています。
コンサバティブでありながら、鮮やかな色彩とデザインにこだわり、過去の膨大なアーカイブから選ばれたテキスタイルをモダンに見せることを得意としています。
ニッキーのプリントタイは、「スタンパ・タバロ」という伝統的なハンドプリントの手法を採用しています。
現代的なインクジェット式のプリントは生地を大量に生産することに向いています。一方、スタンパ・タバロ製法は1枚1枚を手作業でプリントするため、多くの時間と手間が掛かります。
ニッキーは世界的にも希少なグレナディン織り機を所有するブランドでもあります。素材と発色の良さにこだわることがブランドのポリシーなのです。
ニッキーは、ネクタイの結び方のひとつである「ニッキーノット」でも有名です。ニッキーノットはプラットノットに似た結び方で、1952年に創業者の甥のレオポルド・クラミが発明し、イタリア国内では大変な人気を呼びました。
ニッキーは創業時のエピソードからして、「提案力」に長けたブランドです。
創業者のニッキー氏から現代にいたるまで、ニッキーは時代の潮流を読む術を継承し続けているのです。
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ニッキーは高級ハンドメイド・ネクタイの中ではお手頃な価格帯ということもあり、日本でも人気があります。
「妙な、にわかセッテピエゲなんて作らない。だから、うちのネクタイを一本どう?」と、巧みな提案をしてくるイタリア・ブランドです。
ナポリ系のネクタイと違って、色鮮やかながらも落ち着いた雰囲気のネクタイが多いので、どんなスーツにも合わせやすいことも人気の理由です。
毎シーズン、大胆な変化の提案があるわけではなく、素材や生地組織、配色のトーンを微妙に変化させて、その時代のトレンドを巧みに取り入れた提案をする器用なブランドです。
日本で最初に取り扱いを始めたのはユナイテッドアローズかと思います。おそらく1990年代には店頭に並んでいたと思います。
奇をてらわない、普通だけどカッコイイ。そんなネクタイが欲しい方におすすめのブランドです。
ニッキーはコットンやシルク、リネンの蝶ネクタイも手掛けています。蝶ネクタイのコレクションも色鮮やかで、さすがはイタリアの老舗ブランドです。
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